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前回のカイコ記事の続きになります。
こちらを読む前にカイコについて多少前提知識が欲しい方はぜひこちらから。
URL:
さあ、かなり勿体ぶりましたので早速本題に入ります。
果たして新発見とは、、、?
ずばり、昆虫から新しい機能性を持つ糖が見つかったことです。
その名もシルクロース。
(カイコにちなんだシルクが名付けられてますが、厳密にいうとカイコからでなくヤママユという蛾から見つかったそうです。)
この功績は愛媛大学 農学部の三浦教授らによる魚粉に変わる、新しい魚の養殖飼料の開発を目指した研究によってなされました。
もともと三浦教授らはイエバエに着目していたそうで、魚粉にイエバエら昆虫を混ぜた時の効能を調べる中、研究対象がヤママユにもいたり発見に至ったそうです。
現在、魚の養殖に広く使われている魚粉は動物性タンパクとして重宝されていますが、勿論万能ではないです。
中国を中心とした国際的な水産物需要の増加による魚粉の、価格上昇の課題や、元となる天然資源を獲り過ぎることによる環境への負荷などの懸念点を抱えています。
つまり、魚の養殖は天然の魚を資源として成り立っているわけですが、同じ方法で今後も続けられるかは怪しくなってきている、その課題解決を目指した観点からの研究開発だったようです。
そこで手段として注目されたのが昆虫でした。最近になって昆虫は資源として日の目を浴びるようになってきましたが、やはりまだまだ利活用の余地が残されています。それに加え他の資源と比べ競合してしまう可能性が低いです。
使われていない資源の活用とコストの観点の2点に有意性みられたことが着目点にあったのではないでしょうか。この無駄のない感じ私はとても好みです。
実際与えてみたところ非常に手ごたえがあったようで、実験の結果として3つの効能が生じることが分かったそうです。
1つは餌食いが向上。
2つは体色が鮮やかになること。
そして、耐病性が明らかに向上。
やっぱり、1つ目と2つ目から魚にとって虫は良質な餌ってことなんでしょうかね?おいしいものを食べさせればその分リターンになって返ってくるのかも笑
中でも、3つの中でも特に注目すべき点、耐病性の向上、、、
家畜や養殖にとって病気の対策は必要不可欠な要素ですよね。耐病性をもたらした理由が判明できれば養殖魚の効率向上に貢献できます。
そして重要な部分判明について詳しい説明です。
以下引用
「イエバエには、なんらかの魚類の免疫力を活性化する物質が含まれている。三浦教授らはイエバエを含め、13種類の昆虫について、魚類の免疫力への効果を調べた。その結果、多くの昆虫に魚類の免疫を高める効果があった。その中から効果が比較的高い、ウリミバエとヤママユのサナギから、免疫力を高める物質の単離と解析を進めた結果、どちらから得られた物質も、新しく発見された機能性の糖であることが明らかとなった。ウリミバエから得られたこの物質をディプテロース、ヤママユから得られたものをシルクロース®と命名した。」
そして最終的に、ヤママユと同じくらいのシルクロースを含み、絹をとった後にあまるカイコのサナギがコスト的に有効とのことで株式会社愛南リベラシオさんのもとで事業利用されているようです。
このベンチャー企業も我々と同じく昆虫を資源として期待しているそうで、今後のご活躍に期待ですね…僭越ながら勉強させていただくつもりです。
それにしても、虫から新物質発見とはもう虫は無視できない時代になってますね!!!
、、、、いかがでしたか?
皆さんはこの事例をみて何を感じたでしょうか。
私としては、この事例から気づかされことが1つあります。
それは、昆虫は資源としてはまだまだ未知の領域であった、ということです。
言わずとも昆虫って我々の周りにたくさんいることはご存知ですよね。それに前述のとおり、種によっては古くから生活に深く影響を与えてきました。カイコなんて実に5千年以上前からの付き合いですよ。そんなに長い時間を共にしてきた虫から新発見とは驚きじゃないですか?
それに、昆虫にはカイコの他にも実にたくさんの種類が、数にして約100万種にも及ぶほどの種類がいます。こんなに数がいるのなら、
もしかしたら我々が知らないだけで、もしくは知ろうしていないだけで、とんでもない有用性を秘めた虫がまだまだいるかもしれません。
そう考えると昆虫の利活用について研究することはあながちバカにできないことで、可能性があること、、、なんて思いませんか?
本記事が皆さんの知的好奇心の刺激になったなら幸いです。
引用・参考
魚粉に変わる養殖用飼料の原料を求めて(2021年3月17日閲覧)
https://www.jst.go.jp/seika/bt2018-08.html
株式会社愛南リベラジオ ホームページ(2021年3月17日閲覧)
http://ai-lib.com