9/20にYoutubeで魚町銀天街さんのトークショーにうつせみテクノが参加しました!
そのURLです。筆者(副代表)は映像に映ったり、喋ったりするのが極端に苦手なので、トークショーの視聴に徹していましたorz…。しかし、皆様の忖度のない昆虫食の実食での反応や感想はとても面白かったです。ありがとうございました!!
さて、このトークショーでのプレゼン中に昆虫と宇宙開発についての話題が出たと思いますが、今回は少し昆虫と宇宙開発について掘り下げようと思います。
宇宙では、様々な動植物を実験していますが、昆虫も例外ではありません。実は、1947年2月20日にアメリカがV2ロケットで打ち上げられたミバエ(fruit flies)が最初に宇宙に行った動物でした。この目的は高高度での放射線の影響を調べるためで、そこまでスペースを要さないという点でハエを実験対象としたのでしょう。ちなみに、ミバエは健康体のまま生きて帰ってきたそうです。
その後も、蚕、蜘蛛、蜂などの昆虫を宇宙に送り出していますが、(私が宇宙に疎いというのもありますが汗)なぜ昆虫を宇宙で観察する必要があるのでしょうか。
宇宙開発の最初期こそロケットの輸送限界もあるので昆虫や小動物で実験するしかないのも理解できますが、今は十分に性能も上がったので人間と同じ哺乳類で行ったほうが様々な知見を得られるはずです(※個人の意見です)。果たして昆虫を宇宙に送る意義はあるのでしょうか……。
まず宇宙での昆虫の必要性、の前に宇宙開発とは何か私なりに振り返ろうと思います。
宇宙開発とは、宇宙空間を人間の社会的な営みに役立てるために、あるいは人間の探求心を満たすために、宇宙に各種機器を送り出す、ないしは人間自身が宇宙に出て行くための活動全般をいう(Wikipediaより)。宇宙空間と言えば無重力であるために様々な物理的な実験をするのかな、と考えてました。ですが、今でこそ落ち着いてはいるとは思いますが、それこそ宇宙開発が始まって間もない米ソ冷戦期では弾道ミサイルや人工衛星といった軍事目的で開発が進みました。その産物として、気象衛星や位置情報システム(GPS、GRONASSなど)というような今私たちの日常に欠かせないものが誕生したのです。また、宇宙環境における人体への影響(例えば、地球帰還後の人体の変化)や、近年では宇宙で野菜を栽培するなどのような研究がなされています。
(国際宇宙ステーションで水菜、ロメインレタス、ベか菜を栽培している様子。
https://www.nasa.gov/image-feature/veggies-in-spaceより引用)
下記のYoutubeは宇宙でレタスを栽培している様子をNASAが紹介しています。ご参考までにm(_ _)m。
さて、なぜそこまでして宇宙で研究を重ねる必要があるのか、それは人が地球の外で生きていけるのか、について探究しているからだと考えます。まるで、SFのような世界ですが、火星で調査が無人ロボットで行っていることから、現実離れしている別惑星への移住もいずれは当たり前になる可能性はあります。一見好奇心で行っていそうな宇宙ステーションで野菜を育てるという実験もそれの実現の足掛かりにしているはずです。なぜなら、移住した火星で食料がないと例え到達できても餓死してしまうからです。それを防ぐために宇宙で農業をすることが不可欠となるのです。
ところで、宇宙で仮に植物を育てる技術が確立したとしても、人間に不可欠なたんぱく源はどうなるでしょうか。例えば火星では希薄な大気でありますが動植物が生育するのは難しいので、屋内環境で植物栽培する必要があるとなると、牛や豚などの家畜は場所を要す上に飼料も栽培いないといけないので生産量の割に合わず、魚はそもそも水が必要ですし、大豆も面積、1回の収穫あたり生産量が微妙です。(余談ですが、漫画のテ○フォーマーズのようにテラフォーミングで火星の大気や地殻などの環境を地球のそれに近づけるというSFな考えもありますが、後処理が大変そう…。興味がある方はこちらからHPへ、無料で第1話を閲覧できて上記のテラフォーミングについての内容が描かれています…というか案外漫画も使い様によってはかなりいい教材、かも:https://youngjump.jp/terraformars/story/)
さて、お待たせしました。ここで昆虫が登場です。これまでの昆虫食のメリットで耳にタコができるぐらい説明されている昆虫による高効率なタンパク質生産が宇宙での人類が生存できるカギの一つになるかもしれないのです。というのも、昆虫生産において餌、場所、酸素を他の家畜より要さないので宇宙でたんぱく源を生産するのに打ってつけと言えて、宇宙で地球を見ながら、あるいは宇宙のどこかを遊覧しながら昆虫を食料としていただくかもしれないです。(←この内容はトークショーで触れてましたね)。また、飼育自体も一部の昆虫では実証できています。
例えば、蚕。2016年、中国の宇宙ステーション天宮2号で幼虫の蚕5匹が繭を形成する段階まで飼育が出来ました。その蚕のサナギを食べた、という記述はその時の実験内容にないので書かれていませんが、宇宙で繭を作れるということは蚕のサナギを宇宙で育てて、宇宙で食べることが出来る可能性が高まったと言えそうです。
(https://www.chinadaily.com.cn/china/2016-11/10/content_27332451.htmを参照)
(こちらは宇宙ステーション天宮2号での蚕の繭の様子が映されたYouTubeです。0:33に繭が映されていますが、外見上異常なく形になっています。)
ただ、もし宇宙で卵の孵化からカイコガの産卵まで行って継続的に蚕を昆虫食に利用するとなると、なかなかに厳しいようです。1997年、JAXAが宇宙で蚕に宇宙放射線がどのような影響を及ぼすかについて調べるのがメインの実験で、その実験過程で蚕を卵の状態のままで宇宙に運び、それぞれ無重力状態と人工重力状態(人工的に機械で発生させた擬似重力:1G=地球の重力)で胚(卵の中の幼生物)が発生するか試みました。人工重力下では50%ほど胚が発生しましたが、無重力下ではほとんどそれが発育しなかったようです。すなわち、無重力では卵を孵化することは極めて困難だということです。もちろん、人工重力で解決できそうですが、無重力がやはり昆虫を飼育することに対する一番の壁であることは間違いないです。(https://iss.jaxa.jp/kiboexp/theme/first/radsilk/seika.htmlを参照)
このように、昆虫は宇宙開発における食料事情を解決できる有効策ではありますが、それまでには前途多難、より一層の研究や技術開発が必要です。果たして昆虫が宇宙でどれだけ飛躍できるか、とても期待しています。
(P.S 本当は蚕の他にハエについても例として書こうと思いましたが、ソ連時代に宇宙開発の過程でハエを用いた技術開発をしていたという面白い話題(すでにその技術を継承したムスカさんがバイオマスシステムとして実用できるまでに開発:https://musca.info/)があったのですが、具体的な記事が見つからなかったorz。見つけたら簡単にまとめようと思います)