今日の現代人、特に都市部の人はあまり馴染みがないのですが、日本では昔からイナゴや蜂などが食用昆虫として食べられています。下図のように、昆虫食で有名な中国やタイまでには及びませんが、日本は他の外国に比べて比較的多くの種類の昆虫が食べられている、という記録が確認できます。(下図はワーヘニンゲン大学の”List of edible insects of the world (April 1, 2017 )”より引用。
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現代の日本は食の多様化により昆虫を食べる機会が減り、一部の地域を除いては食用昆虫を目にしないというのが現状です。ただ、最近はRON(Bugs Farm)様やTAKEO様といった企業が昆虫食を通販で販売されたり、米とサーカス様のように昆虫を使った料理を提供されたり、直近の話だとついに無印良品でコオロギせんべいを販売する予定であったり、など何かと昆虫食にスポットライトが当たりつつあります。
さて、今回は、世界で昆虫食を販売している企業についてまとめていきます。日本が昆虫食に注目しつつある今、海外ではどうなっているのでしょうか。
1.Eat Grub
Eat Grubはイギリスにある昆虫食の販売、製造する会社で、主要な西欧の食材に昆虫食を導入するのを目指しています。会社を立ち上げたのはShamiさんと彼の友人のNeliさん。Shamiさんはマラウイでの水に関する慈善事業で働いている時、炒めたシロアリを食べ、あまりの美味しさにイギリスでも昆虫食を広める価値があると確信しました。友人のNeliさんとパーティーで歓談した後、常識を超え、西洋の人が抱く昆虫を食べることに対する負のイメージを打ち砕こうと計画し、Eat Grubは誕生しました。
こちらの企業ではコオロギ、バッタ、ミルワームなどの料理などの材料、またはコオロギをつかったパウダー、5種類の味の異なるコオロギスナックが販売されている。ただ、こちらでは昆虫食を売るだけでなく、昆虫食を使ったレシピも紹介しているのが特長です。販売で終わるのではなく、購入者が昆虫食を美味しく食べて楽しむように考えていて、イギリスの人たちに昆虫食の良さをどう広めるか、という強い想いがあるな、と私はそう思います。
↑Eat Grubのコオロギパウダーを使った料理、ライムエナジーボール。
他にも昆虫食を使ったオムレツ、てんぷら、チャーハンなど現在38種類のレシピを公開中です。
2.Thailand unique
次に紹介するのは、タイにあるThailand uniqueです。Thailand uniqueは2003年に設立されたJR unique foods Ltd. Partの商社名です。名前の通り、タイに会社があり、バンコクから北に560㎞の、ラオスの国境に近いウドーンターニーに位置します。東南アジアで小売、卸売市場に食用昆虫、昆虫関連商品を最も幅広く提供している会社の一つであり、また海外の食品製造業者向けに昆虫食の未加工品や個人小売業者へのOEM製品も提供しています。
こちらの昆虫食は何より取り扱っている昆虫とその加工品の種類、品質が売りです。
まず、コオロギ、バッタ、ミルワームは勿論、サソリ、アリ(種類は翅つきシロアリ、ツムギアリの卵を含めて5種類)、ムカデ、カブトムシ…………等、食用昆虫(塩のみで味付けされた昆虫)だけで35種類ほどあります。かなりのネタ宝庫です。さすがマーケットなどでごく普通に多種多様な昆虫食を味わえる昆虫食王国、タイ。それだけではなく、パウダー、チョコをコーティングした昆虫のスナック、蚕のサナギから作ったオイル等々、とにかく商品の数はピカイチといっても過言ではないほどあります。
また、品質も高く、生産されたほとんどは自然由来で食品添加物は一切不使用となっています。また、このような良い品質のため、GMP、HACCP、BRCが認証取得されています。
(補足
・GMP (Good Manufacturing Practice)
安全性でよりよい品質や健全性を有する医薬品・食品等を製造するための製造時の管理・遵守事項を定めた規則。
・HACCP (Hazard Analysis and Critical Control Point)
食品等事業者自身が食中毒菌汚染や異物混入等の危険要因を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程、それらの危険要因を除去または軽減させるために時に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理手法。
・BRC (British Retail Consortium)
英国小売業協会が発行している食品安全のための規格。)
↑豊富な昆虫の品ぞろえと、見た目が直接的に昆虫には見えないチョコスナック。
3.Bugsolutely
最後にbugsolutelyについてです。Bugsolutelyはタイ・バンコクにありますが、創設者はイタリアのミラノ出身のMassimo Reverberiさんです。以前はマーケティング・エージェンシーでしたが、2012年末にイタリアを去り、2年費やして東南アジア、特にタイでビジネスの機会を探し求めました。そして、現在のbugsolutelyの設立に至ります。
さて、こちらの企業はコオロギパウダーを使ったクリケットパスタ(厳密に言うとクルル)が唯一の商品です。唯一とはいえ、パスタなので料理でのアレンジ次第で様々な表現ができます。クリケットパスタの大きな特徴は、コオロギパウダーを20%使用していることで、これは世界初だそうです。なので、このパスタにはタンパク質、カルシウム、鉄分、ビタミンB12、オメガ脂肪酸を豊富に含んでいます。
こちらのクリケットパスタも、GMP、HACCPの認定を受けているので品質に心配はないですね。
↑多くの製造者による徹底した研究の成果がこのパスタで、全粒粉パスタのような色彩と、独特の風味、テクスチャーが特徴。
まとめ
さて、今回は3つだけですが、海外の昆虫食企業を紹介しました。どの企業も優れた技術やユニークな考えがあることが分かりました。でも、共通して言えるのは、昆虫食の良さを多くの人に伝えたいという思いがあることだと私は考えます。昆虫を使ったレシピを考案したり、昆虫をチョコでコーティングしたスナックにしたり、コオロギを使ったパスタを開発したりするのは、昆虫食を広く受け入れてほしい、という考えからの工夫のはずですからね。
また機会がありましたら、海外の昆虫食企業についてまとめようと思います。
なお、下記の通り参考、引用元の3つの昆虫食企業のホームページのURLを掲載しておきます。
余談ですが、bugsolutelyを除いた2つは全て英文となっていますのでご了承下さい…。
参考・引用
Eat Grub :https://www.eatgrub.co.uk/
Thailand Unique : https://www.thailandunique.com/
bugsolutely : https://www.bugsolutely.com/
[…] 世界の昆虫食の今 […]