まだまだ暑い季節が続いているこの頃ですね。唐突ですが、皆さんは食べ物を腐らせた経験はありますか。例えば、牛乳や豆乳を冷蔵庫の外に放置して異常に酸っぱいドロドロしたものになってたり、パンが納豆のような糸を引くまでに腐ってたりなど…。余談ですが、今夏、筆者はコーンブレットを1週間常温放置してそうなりました。とても飲み込むことのできないぐらいの納豆のような臭いと妙に粘り気のある食感で台無しにしてしまいました…。
さて、なぜこんな話をしているのかというと、昆虫を発酵させた食品があるのか、について気になったからです。ここで、発酵とは微生物により物質、成分を分解、変化する現象のことを言います。上記の例は微生物の働きが悪い方向に向かってしまった、あるいは過剰に分解や変化しすぎたもの(これを腐敗といいます)ですが、納豆、醤油、味噌、ヨーグルトやぬか漬け、キムチなどの漬物のように発酵で人間にとって有益で絶品とも言える代物になるのです。それは昆虫を使ったものでも例外ではない、と考えています。
そこで今回は、昆虫発酵食品は存在するのか、調べていきます。
日本国内に発酵昆虫食は昔からあったかというと実はないようです(あるいは、文献がない)。ただ、現在では調味料や飲料として昆虫を用いた発酵食品があるそうです。いくつか紹介していこうと思います。
まず、いなか伝承社さんが販売しているイナゴソースです。これはイナゴを原料にして、一方は醤油麹で、もう一方は米麹を用いた2種類からなる昆虫発酵調味料です。いなか伝承社さんのある和歌山県は醤油発祥の地ともいわれ、地域活性化のため日本初の昆虫を用いた発酵調味料を開発したのだそうです。ただ、今現在このイナゴソースは販売しておらず、今後生産する予定は残念ながらないそうです。ただ、昆虫食普及を止めた訳ではないので、今後の活躍に期待ですね。
(いなか伝承社さんのURL
: https://home.tsuku2.jp/storeDetail.php?scd=0000069181#shop-info)
海外のレストランからも注文を頂いているそうです。現在は昆虫食と発酵の組み合わせを紹介でき、その役目を終えたためイナゴソースの販売から手を引いたとか。
次にコオロギビールです。これはANTCICADAさんが遠野醸造さんと共同開発。コオロギとモルトを麦汁に加えて製造。黒ビールのような見た目でコーヒー、カカオのような香りが引き立ち、苦みとともにキャラメルのような余韻を味わえるそうです。他にもANTCICADAさんはコオロギ醤油やタガメジン、蚕のフンを原材料にしたブランデー“SANSHA”も開発しており、コオロギ醤油はコオロギラーメンで使用され、コオロギビールとタガメジン等はANTCICADAさんのレストランで提供されています。
(ANTCICADAさんのURL
重厚な見た目のコオロギビール。コオロギビールについての詳しい開発経緯や特徴は以下のURLで
:https://camp-fire.jp/projects/view/265644)
他にも商品化はされていませんが、手前みそのススメさんがコオロギを用いて味噌を作ることに挑戦した内容のブログ記事がありますので、併せて紹介させていただきます。
(URL:https://temaemiso-susume.com/report/1422/)
これらの事例を見ると、昆虫食に限界はないのかもなぁ、あらゆる調理が昆虫で出来るのかもしれないと思えてきます。昆虫食は今急速に発展していますが、多くは調味料や飲料にとどまっております。ですが、それら以外の発酵昆虫食もきっとどんどん世に出てくるでしょう。
また、次の記事でも昆虫食と発酵について紹介していきたいと思いますが、日本では如何せんあまり事例がないので、海外の発酵昆虫食に焦点を当てようと思います(英語力が皆無なので時間はかかると思いますが…orz)。
おまけ:海外の昆虫食と発酵についていずれまとめるにあたって、サブサハラ(サハラ砂漠より南のアフリカ地域)での食料不足といった食料安全保障問題のための発酵食用昆虫についての記事を面白そうだったので載せておきます。次回その内容を紹介するつもりです。多分…。(追記:リンクが異なっていたようでしたので、修正しました。申し訳ありませんでした…。)